スマートフォンにおけるウェブプリフェッチングの省電力効果
電波状況の安定しないスマートフォンのwebブラウザでは,ユーザが近い将来に閲覧するURLを予測して,リクエスト前にデータ取得を行う,クライアントサイドプリフェッチが有効と考えられています.しかし,プリフェッチは予測ミスによる無駄な転送も発生させるため,電力消費のペナルティが課題となります.従来研究では通信量の増加を電力増として見積もっていますが,システムに着目すると,モジュールのオンオフや電波状況の影響のために,通信量とシステムの電力は必ずしも比例しません.そこで本研究では実機解析を行いました.スマートフォンのブラウザ上に同一サイト内リンクへの先読み機能を実装し,実機の電源端子から電力状態を測定しました.測定結果からは,プリフェッチにより通信リクエストがまとまることの効率増が確認できた他,閲覧時間が短縮することによるバックライト電力削減が大きく,ページ予測が100%でなくても効率が向上することが確認されました.