直観的な指示による機器連携手法の研究

 コンピュータの小型化によりあらゆるものが計算力を持つことが可能となり、データの同期や画面出力、情報取得など、個人が複数の情報機器を柔軟に連携させて使用することが日常的となってきた。しかし通常、機器は論理名で管理されているため、目の前にある機器がネットワーク上のどの機器なのか見分けることは時に難しい。

 この煩雑さを解決し、大量の情報機器に囲まれる時代のインタラクション手法として、本研究ではレーザーや物理的な位置情報を利用した直観的な機器接続・連携手法を研究している。

“UDU-L”はレーザポインタの要領で目的とする機器をレーザで指すことによって、手元のデバイスと目的のデバイスとの連携を実現する。UDU-Lではユーザ側端末のアドレスと、ワンタイムパスワードをレーザの明滅によって送信し、受信側は2cm角程度の受信デバイスを用いて、送信側の情報を取得、無線ネットワーク経由でコールバックすることによりアプリケーション層までの接続を確立する。

現在はUDU-Lハードウェアの改良とプロトコルのL2レベルへの拡張を行い、レーザポインタで無線ルータを指すだけで、目的とするワイヤレスネットワークへのセキュアな接続を自動的に行うシステムの提案・評価を行っている。

また、物理的な位置情報と論理的な情報とを結びつけ、物理的位置を参照することで、直接機器への接続・連携を行えるシステムを提案している。本システムを用いることで、スマートフォンを持つユーザが直観的に機器との接続を行うことができ、また機器同士の連携を促すことができる。本システムでは、ユーザのスマートフォンを含む、システム内の機器の位置を計測する。これにより、スマートフォンのカメラで機器を見ることで、機器上に操作用のインタフェイスを表示させる。機器の位置情報とその機器の接続に必要な論理情報は紐付けられて管理されているため、このインタフェイスを操作することで直接機器との接続や連携を行うことができ、ユーザは直観的に機器との接続・連携が行える。

本年度は、UWB(Ultra-Wide Band) を利用した屋内測位環境の整備、またその環境を用いた測位情報に即した操作用インタフェイスを機器上に表示するスマートフォンの AR(Augmented Reality) アプリケーションの実装・評価を行った。さらに、本システム実装のための構成の検討を行った。

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  • 小木 真人, 大木 裕太, 吉永 努, 入江 英嗣: 「UDU-L:レーザポインティングによる柔軟なデバイス接続手法」,電子情報通信学会論文誌, Vol. J97-D, No. 1, pp.155–164, Jan. 2014.
  • 小木 真人, 大木 裕太, 吉永 努, 入江 英嗣: 「レーザー光を利用したデバイス間通信における直観的な接続方法の提案」, マルチメディア, 分散, 協調とモバイル(DICOMO2012)シンポジウム, pp.1027-1033, Jul. 2012. (DICOMO2012 ヤングリサーチャー賞)
  • 産学連携向け資料: レーザを利用した直観的かつ容易なデバイス間接続システム

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