距離センサを利用したドライバ運転姿勢検知の研究

ドライバ・モニタリング・システム(DMS)とは、画像センサや生体センサを用いて運転手の状態を推定するシステムのことである。運転手の状態を推定することによって高度な運転支援を行うことができる。例えば、既存のDMSは運転手の疲労や眠気を認識し警告する。このようにDMSが広く普及すれば、交通事故の主要因であるヒューマン・エラーによる交通事故を防ぐことができる。

交通社会の変化に従い、運転手が運転可能状態にあるかどうかを見分ける状況が生じてきた。例えば、自動運転では運転手が運転可能状態にあるかどうかを知る必要がある。SAE Internationalは自動運転を達成度合いによって5つのレベルに分類したが、それぞれのレベルで自動車から運転手へ運転権限の移譲が発生する。レベル3ではシステム不良時に、運転手が自動車から運転権限を剥奪することを要請している。レベル4、5でも、例えば運転手が運転を行いたいと感じたときに運転権限の移譲は発生する。これらの移譲を安全に行うためには運転手は運転に適切な状態でなければならない。したがって、運転可能状態の推定は自動運転において不可欠である。

また、手動運転時にも運転可能状態の推定は必要である。近年、運転手の健康状態に起因する交通事故の数が増加してきた。健康状態に起因する事故は運転手が意識消失状態にあるため重大な事故に繋がりやすい。日本では他の事故よりも死亡率が6倍高いとの報告もある。したがって、運転可能状態の推定は手動運転時にも必要である。

運転可能状態を推定するには、運転姿勢が有用であるとの報告がある。そこで我々は運転姿勢から運転可能状態を推定するDMSを開発している。このシステムでは、異常検知の考えを流用しており、通常運転時の運転姿勢を学習することによって運転可能状態を推定する。

現在運転可能状態の推定精度の改良を行っている。具体的には、運転姿勢ごとに意味づけを行い通常運転と異常運転の判別を容易に行うアルゴリズムの導入を行った。更に、車載可能な組み込みGPGPUプラットフォーム上にシステムを実装しリアルタイム動作を実現した。また、実車環境において、10人の被験者に自動車を運転してもらい、新規DMSの評価を行った。評価結果によると、運転可能状態の誤推定制度は0.01%まで減少させることができ、新規DMSが実用性を有していることが確認できた。